名古屋第一回公演を終えて。波乱の稽古の裏話。(2/3)

名古屋第一回公演を終えて。波乱の稽古の裏話。(2/3)

こんにちは。
劇団ながらびっと代表の森永です。
さてさて、昨日に引き続き名古屋公演についてです。

前回のブログでもお伝えした通り、今回の公演をやり切った事は劇団として大きな意味を持つものでした。
それはこれまでの公演と大きく異なった「試み」がありました。
気持ちがホットなうちに、ズバババっとブログに残したいと思います。

そんなこんなで始まった名古屋第一回目公演のお稽古。
大きく異なった2つ目は、ズバリ稽古場に僕がいない日が多いこと。

これは名古屋0期(3年前にコロナで中止になってしまった名古屋公演の事)でもそうだったんですが、今回は更にそうでした。

なんせ僕は2年前からカフェを経営してしまってるし、また大阪でカフェ公演の稽古も重なり土日の予定はパンパン。
あと僕が名古屋に行くだけで、交通費や宿泊費もかさんでしまうって言う割とガチな理由。笑
うーん、シビア!!

ちなみに過去の公演で、演出の僕がいない稽古なんて基本的にはありません。
なのでこれも大きな試みでした。

結果、どういう事が起きたか。

それは出演者同士でぶつかる事が多かったという事です。
え?じゃあダメじゃん。と思ったそこのあなた。

違うんです違うんです。
ぶつかるって、めちゃ大事なんです。

「もっとこうしよう。」
「今のままではダメだ。」
「それは良くないと思う。」

何かを本気で作る時には、厳しい事や、怒ったり、言いにくい事を言わないといけない時がいっぱいあります。
楽しくワイワイだけでは、決して到達できないものがある。

そういう事を言うのって、これまでだと立場的に僕でした。

でも想像してみてください。
学校で先生から「授業中は静かに!」って言われるのと、仲良い同級生から「授業中は静かにしような」って言われるの、全然違う印象じゃないですか?

「なんでセリフ覚えてないの?」とか「5分でも遅刻気をつけようよ!」とか。
思った事をちゃんとぶつけれるのは、チームとしての絆がぐんぐん強くなっていきます。

そして厳しい言葉を言ってくれた相手に「言いにくい事を言ってくれてありがとうな」っていうリスペクトもあって。
・・・ちょ、カッコ良すぎるぜ君ら。笑

僕がいない事で、自分達で作り上げるんだ!っていう主体性が抜群に高かったように感じます。

そしてもう一つ。
僕が稽古に参加できる日は、これまでの成果を見せるぞー!って燃えてたのが印象的でした。
ピリッとした空気で、ある意味プチ本番のような空気。

みんなガチガチに緊張してたし、上手くいかなかった時は悔しがってくれて。
「前やった時はもっと上手くできたのに!」
「ここ何回も練習したのに噛んでしまって・・・」

うんうん、わかるよ君達。悔しいよな。
でも、本番もそうなんだよね。
当たり前だけど、そういういざという時に出さないもどかしさや、悔しさみたいなものを感じる機会は多かったのかなと

たまにしか見れないからこそ、一回一回の稽古は貴重で、フィードバックの時間はみんな物凄い真剣な顔つきでした。

さて、それじゃあ僕いなくてもええやん?っていう、複雑な気持ちになる話になってしまうんですが
もちろんデメリットもありますよ。

まあ、クオリティでしょうね。笑

これはまーね、そう言わせてくださいよ。
というか僕いなくてもクオリティ高いと立場がないんで・・・ね。笑

ただ先に言わせていただきたい!!
本番のステージはイマイチだったのかというと
めっちゃくちゃ良かった。

これはお世辞とかではなく。本当に心揺さぶる笑って泣ける舞台でした。
というか本番もイケてなかったらこんなブログ書かないし。笑

ただなんせ修正する時間や、確認する時間が物理的に足りてない。
もっと細かく伝えたいけど、行き届かない。消化する時間が足りない。
本番2週間前の時点でもみんな全力でやっているけれど、噛み合ってなかったり、棒読みのように聞けたり。
うーん、やばいぜこりゃってなりました。
沢山厳しい言葉を吐いてしまいました。苦笑

また幸か不幸か、今回は再演になるので初演時(7年前の旗揚げ公演)の映像が残っていたのも大きかったのではないでしょうか。
僕がいない分、過去映像を頼りにする部分が大きかったと思います。
参考になるものがあり、また真似る事でざっくりした形が作られるのは早かったようです。

ところがどっこい!
稽古中盤に来ると、これが呪いのように重くのしかかる。
「真似をする」だけでは、劣化版にしかなり得ない。
表面的ではなく、ちゃんと役を理解し、セリフの真意を読み取り、自分のものにしないといけない。

顕著に出ていたのは店長役を演じた丸山君。
彼はきっと、何度も映像を見て研究してくれたのだと思います。
しかし初演時と同じようにセリフを言っても、どこか自分の言葉じゃないような。
初演時ではウケていたのに、上手くできない。

どんどん凝り固まってしまう。空回りしてしまう。
そんな呪いを感じました。

通し稽古の前に、円陣を組んで一人一言ずつ発していく気合い入れって言うのがあるんですが
丸山が「俺が店長だ!!!」と叫んでいたのは、個人的に目頭が熱くなりました。
その言葉に、苦悩や葛藤、負けるもんかっていう鼓舞だったり、決意だったりが込められていて。

ちなみに何を隠そう初演時の店長を演じたのは僕です。

その分思い入れも強く、厳しくしてしまった部分もあったのだと思います。
呪いの張本人は僕でした。ごめんな丸ちゃん。笑

 

ただ、最終的に丸山の店長役はめっちゃくちゃ良かったです。
稽古の時点では時に苦しそうに演じていた彼でしたが、本番で化けたというか、お客さんを前にして呪いから解き放たれたかのように、のびのびと、楽しそうにやってました。
それだけで裏でこっそり泣きました。
アンケートには彼の名前が沢山書かれていて、ものすごく誇らしい気持ちになりました。

僕は基本的にイケメンは嫌いなんですが、
最後まで折れずに、見事に演じ切った彼をちょっとだけ好きになった気がします。
まあ、ちょっとね。笑

彼だけでなく、自分達より前に別の人が同じ役をやっていたっていうのは、ありがたい一面もありますが、残酷です。
なぜなら比較ができてしまうから。
でも、最後はみんな殻を破り、胸を張って演じてくれました。嬉しいねぇ。そら泣いちゃうよ。

少し話が逸れましたが、僕がいなかった事で修正が遅れた部分の一番大きな部分。
それはランタイム(公演時間)です。

当初は90分の予定の作品でしたが、アドリブが増えたりテンポが悪い所もあって気づけば120分になってました。笑
これが本当にやばかった。

しかも今回は初めての開催のくせに、2日間で6ステージやるという化け物見たいな超過密スケジュール。
普通は4ステでも多いくらいです。

仮に120分やってしまうと、本番を終えて次のお客さんが入ってくるまで30分しかないんです。笑
休憩時間や次の公演の準備、気持ちの切り替えを考えると、確実にぶっ倒れるレベル。

「なんてこったい」って、心の声が完全に口から出ました。笑
最低でも15分は削らねば。

その事実に直面したのが2週間前の稽古終了後。
残りの公式練習はたったの2回のみ。笑

3ヶ月間みっちり練習してきたものから、あと2回の練習で最低15分削る…!
ひえええええ・・・!!

そこから、台本を修正をいっぱいしました。
どこでセリフが詰まるのか、どこのセリフをカットできるか。削れる所を必死に探しました。
これは気づくのが遅れてしまった、脚本担当の僕の責任でしかありません。

みんなが一生懸命覚えて、練習してくれたセリフを削るのは本当に心苦しかった。

全員すぐに対応してくれて、物理的にセリフ量も軽量化され、全体のテンポも上がり、動きも一気にスムーズになったように感じます。結果的により洗練された内容になったのだと思います。
みんなの柔軟さに救われ、結果100分に収まりました。

そんなこんなで、ドタバタとすることは沢山ありましたが、なぜめちゃくちゃ良い公演になったのか。
それは、簡単な言葉になってしまいますが、演者達の強さだったのだと思います。

みんなからしたら僕の存在は、たまに現れて、偉そうに言いたい放題言って、任せっきり。
完全にやばい奴です。笑

うるせー!ってブチギレる案件。
もう辞めたいって心が折れてもおかしくない。

でも、僕だって覚悟決めてますから。
お客さんを感動させるって言うのは、簡単な事ではない。
どれだけ苦悩したとしても、必ず報われるわけでもない。
頑張ったからいいよね、じゃないんです。
だから、ダメなものはダメ。良いと思わないものに良いとは、絶対言えない。
そこで僕が嘘をついてしまったら、演者達の真剣な気持ちを裏切る事になる。

「やるしか、ない。」
「良いものを作りたい。」

そういう根本的な覚悟が僕と同じように、いや、僕以上に全員にあったのだと思います。
少なくとも僕は、演者の誰からも泣き言も、文句も聞いたことない。
最後の練習でセリフをカットするって言った時も、「できない」なんて誰も言わなかった。

腹が立とうが、プライドを傷つけられようが、理不尽なオーダーを言われようが、
根底に「良いものを作りたいんだ。」って、その場にいる全員が思ってる。

そう言う気持ちが全体を繋げていたし、参加率が低い僕の言いたい放題の言葉も、
グッと飲み込んでくれたのだと思います。

そんなこんなで、僕が稽古の参加率が低かった事で、良くも悪くも色んな影響がありました。
ただ結果的に振り返れば、僕の稽古参加率が低くても、完成するまでに時間はかかるけど問題ないって事。
大前提で、そこに覚悟があれば!
むしろ、演者同士の主体性や一体感はもの凄かった。
あぁ、なんて複雑な結果でしょうか。笑

今回の公演で、僕も沢山の学びがありました。
学びをくれた演者のみんなに感謝。

あと毎回シンプルにめちゃくちゃ楽しかったし。

さて、次で名古屋ブログはラスト。
「本番を終えてどうなる名古屋!?」です!!

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